高村光太郎

をんなが附属品をだんだん棄てると どうしてこんなにきれいになるのか。 年で洗はれたあなたのからだは 無辺際を飛ぶ天の金属。 見えも外聞もてんで歯のたたない 中身ばかりの清冽な生きものが 生きて動いてさつさつと意慾する。 をんながをんなを取りもどすのは かうした世紀の修業によるのか。 あなたが黙つて立つてゐると まことに神の造りしものだ。 時時内心おどろくほど あなたはだんだんきれいになる。